コラム > 樫永真佐夫のベトナム報告
樫永真佐夫さん(国立民族学博物館助手)は、ベトナム北部で少数民族黒タイ人の文化を継続的に調査し、最初の著書もベトナム語で書いたユニークな文化人類学者です。ベトナムを中心に東南アジア大陸部のエイジングにかかわる現地レポートを随時掲載します。
第3回 謎の日本人の正体
中越国境に近いムアン・チャンとムアン・タンの間にある深山に日本人がいる、という話をはじめて聞いたのは6年前です。
この話は、ムアン・タンに向かう峠の砂利道をバイクで上るとき、道端にいた黒タイの初老の男性から聞きました。最初は冗談だろうと思いました。でもよく聞くと、旧日本兵が高い山の尾根沿いに住んでいるモン族の女性たちをめとってモン族としてそのまま残ったのだと言います。ありえない話ではないと思いました。
第2回 祖先の語り方
ムアン・チャン最後の黒タイ首領の子孫を訪ねました。昔、首領の居城があった坂の上に、50歳に近い首領の孫が新しい家を2年前に建てて住んでいました。敷地内には、古い居城の柱や瓦などが付近に散在していました。日本が敗戦して、西北地方がフランス領から解放された1945年に取り壊された残骸です。
第1回 むずかしい「あなた」の呼び方
ベトナム語習い始めの外国人は、すぐに3つの壁にぶち当たる。1つめが、母音と子音の体系の複雑さ、2つめが声調、3つめが人称詞である。最初の2つは発音、つまり口の運動の問題である。しかし3つめは人との関係性の問題である。だから、これはもう生活の中で場数をこなして慣れるしかない。

